印刷工場見学レポート

マグマに5月から入社した、中島有希です。

デザイナーとして採用され、まだ日が浅い自分に「印刷」が
どういう手順で、どう仕上がるかを教えていただける工場見学に行かせていただきました。
これは、そのレポートですが、印刷の参考にしていただけたら幸いです。

先週2017年9月29日、
Y印刷のOさんに工場内を案内してもらい、各機械の紹介をしていただきました。
その後、質問にお答えいただきました。

 

●工場内見学
4色刷りの平版印刷機はK→C→M→Yの順番で印刷される。

印刷機型番 LITHRONE A37
A全判オフセット枚葉印刷機 リスロンA37 H-UV(ハイブリッドUVシステム)

※ネットからお借りしました

 

油性インクを紫外線で固めるイメージ。 ※乾かすというより固める
紫外線で固めているためインクが手に付かない。
そのためスピーディに仕事ができる。本の表紙などの印刷にむいている。
紫外線を当てているので、その空間や印刷物から特殊な匂いがする。
勘違いされるのが、紫外線で固めているので紫外線に強い印刷物と思われがちだが、
紫外線耐性はなく、一般的な印刷物と同じように劣化する。
選挙ポスターのようなものは、紫外線などに耐えるインクを使っている。

輪転機は工場内に無く、外注で行っている。
断裁機、折りの加工機(Horizon)、中とじ製本機などで印刷後の加工を行う。

 

●質問内容
Q1.特色印刷の場合はどうしているのか?
機械のインクを入れる容器を一度空にして、洗ってから印刷に使うインクを入れなおす。
少量の2色刷りの場合、DICを一缶買うと余ってしまうので、DICを合わせて色を作ることもある。

Q2.入稿してどういう流れで印刷するのか?
アウトラインデータで入稿

リップ、印刷データに置き換える

プルーフ印刷

デザイナーに確認してもらう、OKが出たら

工場で印刷

RIP(リップ)は「Raster Image Processor」の略で、
DTPソフトで作ったデータを印刷機で印刷できるように
スクリーン処理(網点化)をする仕組みのこと。
RIP処理することを「リッピング」や「リップ」などという。

印刷をしてインクを乾かす時間は、文字のみの場合は2〜3時間かかる。
全ベタは、一番乾きやすいコート紙でも5〜6時間かかる。
画用紙の様な特殊な紙(非塗工紙)は8時間かかる。

印刷工程は一般的な両面刷りの場合
・表面印刷、乾かす 1日
・裏面印刷、乾かす 1日
・加工 1日
計3日間かかる。

Q3.4版の分け方は?
リップ処理をするときにソフト上で分かれる。

Q4.インクをどのように付着させるのか?
版胴のインクがのらない所には、水が置かれインクは油性のため水をよけて付着する。
一度、ブランケットに転写してから紙に印刷される。
※版胴から直接紙に印刷する訳ではない。

Q5.トンボはなぜ4色用意するのか?
紙は印刷する時に水を含み少し伸びることがあるため
CMYKで4色のズレをなくすための基準となる。

Q6.印刷汚れについて
一番多いのが、用紙の端がめくれて繊維がブランケットに残り、
繊維の残った部分にはインクがのらないという事例。
ブランケットを定期的に洗う対策。
他にも、版のキズがないか、ブランケットのへこみが無いかなど
16項目のチェックシートで、確認をしてから印刷をしている。

Q7.入稿データで困るものは?
・写真データがRGB
・データのセンターがとれていない
・アウトラインのかけわすれ
・レイヤー分けなどでゴミが下に隠れているデータ
・重いデータ

Q8.入稿時、注意事項は?
例えば、同種類で一部変更点のある、
4パターンの印刷物があった時に違いを明確にしてもらうと安心感がある。

Q9.紙の違い
コート紙、マットコート紙、上質紙が一般的に使用される紙。

塗工紙:コート紙、マットコート紙など
非塗工紙:上質紙、和紙など

写真を綺麗に印刷:コート紙
本の本文を印刷:上質紙
イラストなどを綺麗に印刷:マットコート紙
※コート紙はボールペンで書けないため
ハガキ面、印刷の場合はマットコート紙か上質紙になる。

Q10.社内プリンターでの印刷物と印刷会社での印刷物の色の違いについて
プリンターごとに設定の色味が違うため。
各印刷会社のプリンターで設定を行っているため色がかわる。
希望を言ってもらえれば色味を近づけることは出来るが、同じにはならない。

Q11.インクはどう流れるのか?
機械上部のタンクにインクを入れ、上から下に流れる。
色を濃くしようとする時は、インクを受け皿に入れる量を多くするか
流れる量の多い少ないを調整する。

インクを出す口が30個ほどあり、
各口ごとにボタンが割り当てられておりインクの出る量を個別に調整できる。

Q12.ゴーストとは?
絵柄の濃度に影響をあたえ、あるはずのない濃淡が現れる現象。

ゴーストの対策
ベタ部分の中に白抜きがある場合、
インクの供給量が違うため、バランスをくずしてゴーストが発生するので
仕上りの外に捨てベタを入れることにより、
インク供給量のバランスが調整され、目立たなくすることが出来る。

 

工場見学を終えて
いつも会社のプリンターで、簡単に印刷ができるので安易な考えでしたが、
世に出る印刷物にはたくさんの人の手が加わって
いろいろな試行錯誤をしたのちに生まれるものなんだなということが分かりました。
私が多く関わる部分は、データを入稿するときだと思うので、
今回の質問でお聞きしたことをしっかりと確認して、
入稿からスムーズに印刷を行えるデータ作りを心がけます。
工場見学に行かせていただき、ありがとうございました。

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